水産養殖は21世紀において最も重要な産業の1つとされています。
その要因には、「人口増加によるプロテイン需要の増大」や「世界人口の増加(2050年には97億人到達と予想)」などから、世界でタンパク質需要が高まっていること、そして「天然水産資源の保護」などがあります。
今後起こるとされているタンパク質不足に対して、現在の牛や豚などの畜産動物は土地や効率性などの問題から、今後増やせる飼育可能頭数が限られています。
そのため、飼育効率の良い昆虫養殖や、陸と比べ使用できる面積の多い海での水産養殖など、効率の良い養殖が注目されています。
今回はその水産養殖業において、テクノロジーを用いることで将来人類が直面する食料問題と環境問題の解決に取り組む、養殖テクノロジースタートアップ、ウミトロンを紹介します。
<目次>
- ウミトロンとは?
- 資金調達
- サービス
- 売上
- 提携
- 研究
- 特許
ウミトロンとは
ウミトロンとは2016年設立の水産養殖スタートアップです。CEOの藤原さんはJAXA→三井物産→メタップス出身と、超が付くほどのエリートです。
また成長分野である水産養殖業での活躍を期待され、大型の資金調達にも成功しています。
ウミトロンが注目したのは水産養殖コストにおいて60%以上を占める餌代です。提供しているのは主にスマート給餌機であり、従来の自動給餌機とは違いただ餌を撒くだけでなく、養殖魚の育成状況を含め、細かな魚の情報をリアルタイムで確認することができます。
これらに加え、集めた豊富なデータを活用することで餌の使用効率や魚の餌の食いつきを格段に上げ、養殖にかかるコストパフォーマンスに貢献します。
資金調達
ウミトロンは株式会社産業革新機構、IDEOが参画するベンチャーキャピタル D4V、藤代真一氏、松岡剛志氏ら個人投資家などから、合計14億円を調達しています。
サービス
UMITRON CELL
ウミトロンが提供するスマート給餌機です。養殖魚の様子だけでなく、スマート魚体測定システムを使って水中の魚のサイズを自動計測することができます。それとクラウドデータを使って養殖魚の育成状況を確認し、餌の調整や出荷タイミングの確認などを行えます。
また魚の食欲をリアルタイムに判定できる、機械学習を活用した魚の餌食いをリアルタイムで自動評価する世界初のアルゴリズムを持っており、餌の無駄遣いを防ぐことができます。
そして海水温や海水の成分などをスマートフォンでリアルタイムで確認できるサービスも行なっており、利用者は養殖に関する様々な情報をすぐに手に入れることができ、これが効率化だけでなくリスク管理にも繋がります。
売上
現在、ウミトロンの売上は公開されていません。
提携
ウミトロンは多くの企業と提携しています。その代表的なものは、ENEOSとの資本業務提携、東京海上日動火災保険と業務提携、くら寿司100%出資の新会社「KURAおさかなファーム」との協業、など大手企業と提携関係にあります。
研究
ウミトロンは多くの研究を行なっています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C) データの水産養殖向けPoC、愛媛県愛南町とのIoT技術実証研究などがあります。
特許
ウミトロンは2つの特許を取得しています。
- 水棲動物養殖支援システム、昇降装置、給餌装置、水棲動物の養殖方法、及び水棲動物養殖支援プログラム
- 自動給餌支援装置、自動給餌支援方法、およびプログラム
まとめ
養殖テクノロジースタートアップ、ウミトロンいかがでしたでしょうか。今後需要とともに成長していく水産養殖市場において、豊富なデータを活用できるウミトロンは今後更なる成長をしていくでしょう。ウミトロンからも養殖市場からも目が離せませんね!!
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